2022年6月25日土曜日

説教メッセージ 20220626

 今週の聖書の言葉 ルカ9:51~62 (新124) 

9:51イエスは、天に上げられる時期が近づくと、エルサレムに向かう決意を固められた。 52そして、先に使いの者を出された。彼らは行って、イエスのために準備しようと、サマリア人の村に入った。 53しかし、村人はイエスを歓迎しなかった。イエスがエルサレムを目指して進んでおられたからである。 54弟子のヤコブとヨハネはそれを見て、「主よ、お望みなら、天から火を降らせて、彼らを焼き滅ぼしましょうか」と言った。 55イエスは振り向いて二人を戒められた。 56そして、一行は別の村に行った。

57一行が道を進んで行くと、イエスに対して、「あなたがおいでになる所なら、どこへでも従って参ります」と言う人がいた。 58イエスは言われた。「狐には穴があり、空の鳥には巣がある。だが、人の子には枕する所もない。」 59そして別の人に、「わたしに従いなさい」と言われたが、その人は、「主よ、まず、父を葬りに行かせてください」と言った。 60イエスは言われた。「死んでいる者たちに、自分たちの死者を葬らせなさい。あなたは行って、神の国を言い広めなさい。」 61また、別の人も言った。「主よ、あなたに従います。しかし、まず家族にいとまごいに行かせてください。」 62イエスはその人に、「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国にふさわしくない」と言われた。


説教

「主よ、あなたに従います。しかし…」徳弘浩隆牧師

1.物事には順序というものが…

何をするにも順序という大切なものがあります。ブラジルのホテルでの朝食で驚いたことがありました。果物を食べていた人がそれが終わると大きなお皿で料理を取りに行きました。「デザートの果物の後にもう一回り料理を食べるのだろうか?」と驚きましたが、よく観察するとそんな人が多くて、まず最初に果物を食べるということでした。果物がおいしくて安いブラジルならではなのかもしれません。血糖値を緩やかに上げてくれて、しかも食物繊維を先に摂るのが健康のために良いとも言われるそうで、ところ違えば順番が違うということもあるのかと驚いたのを覚えています。

私たちと、神様の関係はどうでしょうか?何を先にしていくべきでしょうか?今日はそんな話が聖書から教えられています。

2.聖書

今日の出来事は、イエス様の生涯の大きな節目の一つです。聖書研究会でも学んでいますが、ルカは3つのパートに分けられ、最初の教えや出来事から弟子たちの信仰が強められ、ペトロが信仰告白をし変容の出来事がありました。そこでこの9章の後半部分から二つ目のパートに移るところです。最後の時が近づいたのを悟って、エルサレムへの旅を始められるイエス様の出来事です。

旅立つときに弟子たちを先に派遣されてその土地を探らせました。サマリヤはイエス様の一行がやってきてエルサレムに向かうのを歓迎しませんでした。サマリヤはアッシリアに北イスラエル王国が滅ぼされた後アッシリア人が政策的に多く入植させられ宗教的に混乱しました。もともと、エルサレムと離れた王国は別の神殿を独自に立てて、亜流のようになっていました。かれらは南のエルサレム神殿へ行く彼らを快く思わなかったのでしょう。弟子たちはエリアの時のように火を投じて滅ぼしてしまおうかと提案しますが、イエス様は戒めて目的遂行のために別の村へ行きます。そこで数人と出会います。自分から「どこにでもついて行く」という人には安住の地はないといわれました。イエス様の方から「ついてきなさい」と言った人は「先に父の葬りをしてから」と返事をし、それにイエス様は「死人のことは死人に任せて、あなたは神の国を言い広めなさい」と言われます。そして「あなたに従いますが、まず先に家族にいとまごいを」という人には「神の国にふさわしくない」と厳しい言葉を返されました。

3.振り返り

物事には順序があり、世の中の大切なことはあります。イエス様はなぜこんなにも冷酷で非常識とも取れることを言われたのでしょうか? 私たちもいつもそんな風に神様を最優先して、家族や親せきとも対立していかねばならないのでしょうか?

いつもいつも、神様を最優先して社会のルールや調和を無視して良いということではありません。時折、熱心すぎる信仰者は、そのようにふるまい、対立し、先鋭化し、問題にもなっていくこともあるでしょう。気を付けねばなりません。今日の旧約聖書では、預言者エリアと後継者エリシャの出会いでしたが、牛で畑を耕していたエリシャは、両親に別れの挨拶をする猶予を乞うてゆるされたのでした。預言者の働きと、キリストに従うということは意味の大きさが違いますが、ゆるされる常識的範囲でした。

しかし、反対に、神様の目から見て大切な時にも、今までの生活や常識にとらわれていては、大きな過ちを犯し、神様から遠ざかってしまうことになるでしょう。

大切なことは、「神様の目から見た時」ということだと私たちは見極めなければなりません。

9章の後半からは、主にイエス様が旅の途中で語った教えやたとえ話がまとめられています。イエス様に従うことを、旅になぞらえているのです。大切な時が来た時に、イエス様の話を聞き、出来事を見ながら、自分もその旅について行くかどうか、それが問われるです。

旅行先でこの電車を逃したら大変という時、どうするでしょうか?今の日本では物事がきっちりとしすぎていて融通が利かないかもしれませんが、スペインで新幹線に乗りたいけれどぎりぎりで間に合いそうにない時がありました。あわただしく駅員さんに相談すると、「大丈夫、とにかく乗って!チケットは中で何とかなるから」と私たちを追いやって乗せてくれました。物事の順序を考えている場合ではないのですね。私たちの、人生という大切な電車はどうでしょうか?「あれこれ言わずに、さあ、乗りなさい。今のあなたには、これが一番大切じゃないのか?」と招いておられるイエス様がおられるのです。

4.勧め

教会だよりにも詳しく書きましたが、6月24日は、教会の古くからの風習では、洗礼者ヨハネの日でもありました。それはちょうど「夏至」の時期でもあります。この日を境に太陽は「力を失い」日が短くなっていきます。秋分の日に昼と夜が同じ長さになり、「冬至」には夜が一番長くなります。その日を境に、太陽は「力を取り戻し」日が長くなり徐々に暖かくなっていきます。そんなころにイエスキリストの誕生を祝うクリスマスが定着しました。暗闇に光としてこられたキリストの誕生を祝うのにちょうどよい日です。私たちの人生にも、「この日を境に」という日があります。神様の目から見たら、私たちの人生に大切な変わり目があるでしょう。そのとき、私たちは、今までの考えや常識を超えて、何かを信じ、何かを決断すること、そんなことも大切です。

あなたの祈りは何でしょうか?神様の願いは何でしょうか?今やることは何でしょうか?そんなことを祈りながら、生活しましょう。神様の願いが分かったら、「神様、従います。でも、ちょっとあれを先に」と言わないようにしましょう。神様の導きと祝福をお祈りします。

 

 

 

キリスト教ワンポイント講座

「サン・フアンの日?」そして、「Festa Junina (フェスタ・ジュニーナ)」

6月24日はスペインなどではサン・フアンの日といって、お祭りがあります。人形を燃やしたり、大きな焚火をしたり、それを飛び越えたり、花火も上がるというもの。実はこの時期、ボンファイヤーともいう大きな焚火をするお祭りはヨーロッパにいくつもあるようです。ルーテル教会の国フィンランドでもそうでした。これは北半球の季節の変わり目と、聖書の洗礼者ヨハネに関係する大きなお祭りでもあります。

ルカによる福音書によると天使ガブリエルがキリストを宿すマリヤにするお告げによると、洗礼者ヨハネは6か月前に親類エリザベツに宿っています。有名な洗礼者ヨハネとイエス様は6か月の歳の差となります。

イエス様がお生まれになったことを祝うクリスマスは12月25日ですから、洗礼者ヨハネは6月25日ころとなるでしょう。クリスマスの日程は聖書には出てきませんが、325年のニカイヤ公会議でも議論されいくつも候補があったそうですが、ローマ暦の冬至の日が「降誕を祝う祝日」として定着していきます。古代ローマの宗教やローマ神話の「不滅の太陽が生まれる日」としての「冬至」が影響したともいわれます。

夜と昼の長さが同じ日は「春分の日」と「秋分の日」、そして夜が一番長い日でありその日を境に昼が長くなる、つまり太陽が力を持ち始めるともいえる日が「冬至」です。暗闇の世に光として来られた方、キリストの誕生を祝うのにちょうどよい日となります。そうなると、その6か月前は「夏至」ですね。昼が一番長い日、そしてその日を境に太陽は力を失っていく日が、洗礼者ヨハネの日となります。人々を悔い改めさせ、キリストを迎える準備をし、やがて使命を終えて影響力を失っていく使命のヨハネとも重なります。そう、スペイン語のサン・フアンはSaint Jhon、聖ヨハネ(洗礼者ヨハネのほう)のことです。火をたくいくつかのお祭りは、夏至の日に力を失い始める太陽に、焚火をして応援する意味合いもあるとか。

興味深いことに、南半球にもこの習慣は持ち込まれ、ペルーでもありますし、ブラジルではSão João(洗礼者聖ヨハネ)の日とされFesta Junina(6月祭り)が有名です。この日は南半球では「夏至」ではなくて「冬至」なのにです。面白いですね。地域の田舎祭りと融合し田舎風の服装で楽しみます。私たちも夏日が続きますが、暑い暑いと嘆くばかりでなくて、季節感とともに、神様の不思議な出来事を味わうのもよいかもしれませんね。


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