2022年6月5日日曜日

説教メッセージ 20220506ペンテコステ

今週の聖書の言葉 06月05日 

使徒言行録2: 1~21 (新214)

1五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、 2突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。 3そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。 4すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。


ヨハネ14: 8~17, 25~27 (新196) より

16わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。 17この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。

説教「弁護者としての聖霊」 徳弘浩隆牧師

1.弁護者、弁護士?

牧師をしていて、いろいろな方のご相談にのったりしていると、いろんな専門家の方にお会いすることもあります。私の高齢化していく両親のことや、教会のメンバーのことで、ここ数年もケアマネージャーの方や地域の民生委員の方にも会ったりしました。

弁護士の方にも何度か会いました。困ったことで相談を受けた外国人メンバーのために、弁護士さんに予約して一緒に相談に行き、通訳をしました。法テラス制度というのがあって、決められた範囲なら無料でアドバイスを受けることができました。

牧師は一番大切な神様との関係ではいわゆる専門家ですが、この世の社会のすべてのことに万能なわけではなくて、それぞれの専門家に意見を聞いたり、つないで差し上げたりして、一人で抱え込まず、誤ったアドバイスをせず、正しい方向へ解決やお支えに近づけるようにすることも大切だと思っています。

今日は、聖霊降臨祭、ペンテコステです。今日の聖書では、イエス様の言葉で、「父は別の弁護者を遣わせて、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる」と言われています。弁護者という言葉から、弁護士を連想し、いったいどんな方でどんな働きなのかと、思いめぐらせます。今日の聖書のメッセージを聞いていきましょう。

2.聖書

五旬節というお祭りがもともとユダヤ教で行われていました。ヘブライ語ではシャブオットといわれる大麦の初穂の収穫の50日目に祝われるお祭りで、そのギリシャ語訳でペンテコステといわれます。

過ぎ越しの祭りを記念する食事の後逮捕され十字架にかけられ3日目に復活されたイエス様が、40日後に天にあげられ。その10日後の五旬際の日に弟子たちが集まっていると、聖霊降臨が起こったという時系列になります。詳しいことは教会だよりのコラムもご覧ください。これらはすべて、ユダヤ教の出来事の上に、新しい契約としてイエスキリストの出来事が起こっていると理解されていくことになります。

イエス様は、告別説教でたびたび、弟子たちとの別れと、その後のことを話されていました。そして別れた後は聖霊が送られるという事もです。それが、今日の話で実現したことになります。

聖霊を受けた弟子たちは、霊に満たされ、霊が語らせるままに、ほかの国の言葉で話し出した、と記されています。当時ユダヤ人たちは各地に散らされて住んでいました。いろんな国の言葉を話すようになっていたのです。しかし、この五旬祭のために各地から集まってきたところ、この出来事に出くわして驚くのでした。「朝から酒に酔っているのではないか?」と疑う人もいました。しかし、「これは、預言されていた通り、終わりの日に神の霊が注がれたのだ」とペトロは説明し、イエス・キリストの出来事を説教します。受け入れて、「邪悪なこの時代から救われなさい」との説教を受け入れて、その日に3,000人の人が受け入れ、洗礼を受けたと、聖書は伝えています。

3.振り返り

さて、今日の聖書の話から、何が「弁護者」としての働きなのでしょうか?いろいろなことを学ぶ聖書の場所ですが、私はそのことを考えました。

一つのカギは、今日読まれた旧約聖書の出来事です。それは、「バベルの塔の物語」。ノアの箱舟の後の世代、ある土地に定着した人々は、大きな塔を作りました。「石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた」とあるのは、文明や科学がそれなりに発展してきたことを表わしてもいるでしょう。そしてそれで満ち足りた生活をしていただけではなくて、傲慢になっていくさまが記されています。「彼らは、『さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう』と言った。」とある通りです。神様は人々の傲慢と誤った企みをみて、言葉を乱して互いに理解できないようにされました。すると人々は言葉が通じないのでその地を去って行き、塔や町の建設もあきらめたのでした。その地は「バラル」という混乱という意味から「バベル」と呼ばれるようになりました。

聖霊降臨の出来事は、その「混乱の解決」ともとられています。神が送った霊に満たされ動かされ、弟子たちはたくさんに分けられた人々の言葉を話しました。それで、そこにいた人々は驚き、イエス・キリストの出来事を聞き、理解し、洗礼を受け、神のもとに引き戻されたという事なのです。

どのようして神様は、それをしたのでしょうか。大きな奇跡の力で人々の言葉をもとのように一つに戻されたのでしょうか?いや、逆の方法でした。人々の言葉や考えを無理やり一つにするのではなくて、弟子たちの言葉を多くの人々に合わせる形をとりました。そこが大切なところだと思わされます。

大きな混乱ともいえる出来事は人々の罪と傲慢さから生まれました。それを解決するために、今までをすべてなくして一本化してしまうのではなくて、人々の多様性を豊かさとして認め、神様の側が人々にくだり、人々に寄り添い、それぞれの人々の言葉を語るようにされ、招かれたのでした。

4.勧め

言葉はとても大切です。人は、不安で困っているときに、自分が理解できる言葉を聞くと安心します。神学生のころ京都でインターンをしているとき、ブラジル人の家族が時々教会に来られていました。今思うとそれが私のブラジル日系人との初めの出会いでした。何かの話で、彼らがアパートに食卓が必要なのだと知りました。「教会のバザーの寄付の中に、テーブルがあるよ。低いテーブルしかないけど見てみる?」と私は思わずスペイン語で説明しました。日本語がまだよく分からない人たちでしたから、何とかしようと思ったのです。その時の自分はポルトガル語はわからないけれど、似ているから通じるかもしれないと思ってのことでした。すると急にそのご婦人の顔が明るくなり、とても喜んでくれました。それ以来信頼していろいろ話してくれ、食事に招いてくれたり、病院に連れて行ってあげたり、交流が続きました。教会にも続けてきてくれるようになりました。

弁護士は、依頼人の状況や話をよく聞きます。法律の説明をして「こうしなさい」と指示をしたり、違法行為を責めるのではありません。依頼人の問題や苦しみをよく聞き理解し、法律に照らしてアドバイスをしたり、守ったり、弁護したりしてくれます。

神様もみ言葉を盾にして、「従ってこい」という命令ではなく、キリストが降りてこられ、人々に寄り添い、助け、赦されました。キリストが天に戻られた後は、神様は聖霊を送り、人々の心を満たし、動かすのです。

今日の結論は「外国語を勉強しましょう」ということではありません。同じ言葉を話していても、家族でも、集団でも、教会でも、その気持ちを十分理解し、寄り添っていないかもしれません。意見の違いや多様性は大切にしながら、聖霊に動かされて、理解し、寄り添い、助け合う、本当の神の子としての生き方を始めましょう。そこから、和解や平和が始まるのです。

 

 

 

キリスト教ワンポイント講座 「ペンテコステ」

ペンテコステは五旬祭というユダヤ教のお祭り。ペンタゴンやペンタックスといえば5角形の「5」を表している言葉から来ているので、覚えやすいかもしれません。その日、「炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。」という出来事が起こりました。

この五旬祭(シャブオット)の祭りは、「ユダヤ教の祝祭で、過越の祭、仮庵の祭とともに三巡礼祭の一つで、イスラエルの民が紅海を渡ってファラオを退けてから50日を数えてシナイ山に神が降臨したことを記念している。労働が禁じられる聖会の日であり、タナハの学習が行われる。」という説明がインターネットにもあります。タナハというのは、先週の聖書研究会でも扱ったのですが、いわゆるユダヤ教の聖書、私たちの旧約聖書のことですね。

もともと神の息吹を吹き入れられ人は「生きたもの」となっていたのですが、罪の中を生き、世の中は混乱と争いが絶えません。この日、神様の霊が人々に降り、満たされ、動かされました。教会では聖壇が赤い布に替えられ、聖霊をあらわすハトや赤い炎があしらわれていて、それを思い起こすことになっています。

神様に動かされ、本当の命を生きましょう。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。