2022年5月7日土曜日

説教メッセージ 20220508

説教メッセージ 20220508

今週の聖書の言葉 05月08日 ヨハネ10:22~30 (新187)

10: 22そのころ、エルサレムで神殿奉献記念祭が行われた。冬であった。 23イエスは、神殿の境内でソロモンの回廊を歩いておられた。 24すると、ユダヤ人たちがイエスを取り囲んで言った。「いつまで、わたしたちに気をもませるのか。もしメシアなら、はっきりそう言いなさい。」 

25イエスは答えられた。「わたしは言ったが、あなたたちは信じない。わたしが父の名によって行う業が、わたしについて証しをしている。 26しかし、あなたたちは信じない。わたしの羊ではないからである。 27わたしの羊はわたしの声を聞き分ける。わたしは彼らを知っており、彼らはわたしに従う。 28わたしは彼らに永遠の命を与える。彼らは決して滅びず、だれも彼らをわたしの手から奪うことはできない。 29わたしの父がわたしにくださったものは、すべてのものより偉大であり、だれも父の手から奪うことはできない。 30わたしと父とは一つである。」


説教「羊飼いの声を聞き分ける羊」徳弘浩隆牧師

1.聞くと、聞き分けるの違い…

先週の日曜日は、新しいメンバーが教会に来てくれました。実は、お呼ばれしていた予定が急にキャンセルになり気の毒なので急遽高蔵寺に呼んで土曜日曜と一緒に過ごしました。彼女はインドネシアのルーテル教会のメンバーで大学卒業後勉強のために日本で働いていますが、ルーテル教会を探して通ってくれるようになり、日本語を教えたりお世話をしています。礼拝の後、挨拶をしてもらいましたが、インドネシア語で賛美歌を歌ってくれました。こどものころから教会に通い奉仕をし、賛美もしている人です。

今気に入っていて、覚えたい日本語の歌は「つばさをください」というので、教えてあげています。そういえば、ブラジルにいる頃日系人メンバーで聖歌隊を作り、妻が指導して一緒に練習したのを思い出し、ビデオも見せました。ブラジルの一般の義務教育では音楽や美術はないので、優秀な大学を出ている人でも音楽は苦手。楽譜の読み方からパートに分かれて歌うことでも苦労していて、音楽の苦手な私でも説明したりパート練習を指導したりできるほどでした。3部合唱でベースをうたっていても、一緒に歌うとすぐにソプラノに引っ張られてしまいます。「合唱の歌が本当にきれいで、一緒に歌えるようになりたい」というのですが、合唱の中のベースやアルトを、その音だけを聞いたり歌ったりすることは本当に難しそうでした。そういえば、私も昔ギターを少しやっていたころ、仲間がベースをしていてその音だけを拾い出して聞こえるようになったとき驚いたのを憶えています。

私たちは、いろいろなものを見、聴いていますが、その中から聴き分けるという事は、違う事なんだと思わされる出来事でした。

2.聖書

今日の聖書ではイエス様はこういわれました。「わたしの羊はわたしの声を聞き分ける」と。私たちも聖書を読み、説教を聞いています。また、いろんな本や情報にも触れています。しかし、間違いなく神様の声を聞き分けているでしょうか?聞くと聞き分けるは違うようです。何が大切なのか、一緒に聞いていきましょう。

エルサレムの神殿奉献記念祭の時にイエス様は神殿の境内でユダヤ人たちに取り囲まれます。そして「もしメシアなら、はっきりそう言いなさい」と迫られました。そこでのお応えが今日の聖書の個所です。

神殿奉献記念祭の出来事であったことが一つのポイントです。ハヌカとも呼ばれるこの祭りは、ユダヤ教の祭りのひとつで、今でも毎年12月に守られています。これは、隣の強国バビロンに侵略され滅ぼされ多くの人が連れ去られて生活をしていましたが、紀元前6世紀にようやくバビロン捕囚から帰国したユダヤ人たちが大切な神殿を再建し、再出発をしたことを記念しての礼拝です。宗教的にも政治的にもようやく自由を取り戻し、神様とともに再出発をした希望の日です。しかし、イエス様の時代は北の大帝国ローマに支配されていました。宗教的にも政治的にも自由は奪われ苦しい生活をしていたのです。

そんな中での伝統的な神殿奉献記念祭、民族的にも宗教的にもアイデンティティーや愛国心さえ最高に高まる日でした。そこに居合わせた話題の宗教指導者が、イエス様です。人々は、メシアを待っていました。もう一度、ダビデ王のように国を治め正しく導き、たくさんの問題から解放してくれる人として。だから、イエス様に「あなたがメシアなら、はっきり言いなさい」と迫ったのでした。

それへのお答えが「私の羊は私の声を聞き分ける」です。イエス様の言葉を聞いて集まるだけでなくて、その真意をきちんと聴き分けることが大切といわれます。そして、そこにもう答えはある。もっといえば、あなた方の勝手な期待はまちがっている、とも私たちは聞くことが大切でしょう。

3.振り返り

神様のご計画と私たちの期待は、時として違うことがあります。神様の声を幾度も聞いていたと思っていても、その神様の真意を聞き分けることができず、自分の願いを押し付けていることもあるでしょう。

イエス様のもとに集まった群衆と、そして取り囲んだユダヤ人たちは、愛国心が高揚される神殿奉献記念祭の日に、自分たちの王としてローマを打ち破り国を独立させてくれる指導者かと期待し、気をもんだのでした。しかし、イエス様のなさる救いと解放は、そんな一時的なものではありませんでした。命を懸けて、もっと深いところから、人間が罪を回心し、新しい生き方を出発するものなのです。そこには敵も味方もなく、敵を打ち負かして得る自由でも独立でもなく、すべての罪びとが神様の前に立ち返る道でした。

そのために、どんどん上り詰めて敵を打ち負かしてその上に自分たちの王国を作るのではなく、一見弱弱しくしくみじめで、裏切られ捨てられていく十字架の道を行かれました。勝利ではなく敗北に見えましたが、その最後まで、神を信じ人々を赦し愛していた姿に、人間の罪深さと神の愛の大きさを見せつけられ、目が開かれ回心へと導かれました。その愛を持って生きなければ、どんな王国も地上の権威もやがて相争い、滅ぼしあうのが人間の歴史でした。今のニュースを見ても心が痛くなる通りです。その罪深い人間の生きざまから、応酬のスパイラルから抜け出すには、この大きな神の愛を知ることしかなかったのです。

4.勧め

聞いていても聴いていない。聞こえていても聴き分けていない。そんな時は、自分の勝手な願いが大きいのでしょう。神様は、どういわれているのか、謙虚に聞き従いましょう。心の迷いも、家族の不和も、紛争や戦争も、互いの声を聴き、最後に神様の声を聞き分け、それに従うときに、本当の安心が見えてくるのです。 

 

 

ニュースを見て気になるキリスト教ワンポイント講座

キリスト教って、カトリックとプロテスタントの二つでしょ?いえ、違います。そういえば、ロシア正教ってどんなキリスト教?

悲しいことですが、戦争のニュースばかり目にする毎日です。時々出てくる映像で、「あれっ?」と思ったこともあるかもしれません。そう、ロシアやウクライナのキリスト教って、ちょっと違う。そして、民族主義を守り、いや翻弄されさえしているかもしれない教会の姿を見ることがあります。おさらいしましょう。

キリスト教は弟子のペトロを初代のローマ教皇と位置づけている歴史の長い教会があります。そこから1517年に「ルターの宗教改革」で分離した教会があると中学や高校の世界史でも習う通りですね。前者がローマ・カトリック教会、後者をプロテスタント教会と呼び、最初のルターの流れをくむ教会がルター派、ルーテル教会という事になります。その後、イギリスの聖公会(アングリカンチャーチ)や、バプテスト、長老派、改革派、メソジスト、ペンテコステ、アドベンティスト…など、たくさんのプロテスタントが各地で生まれ、その特徴はそれぞれの名前が示す通り、強調点が違う教派です。

しかし、みんながあまり知らず忘れているのが、「正教会」「ハリストス教会」「東方教会」などといわれる教会です。これはプロテスタントより歴史が古く、1054年に生まれています。初代キリスト教会がローマ帝国で392年に国教化された後、5つの教区がありましたが、ローマ帝国の東西分裂もあり、西のローマと東のコンスタンチノープルで政治的にも宗教的にも対立があり、互いに互いを破門して分裂したのです。そこから東方の教会が独自のあゆみをします。ハリストスとはキリストの現地での発音、正教会は英語ではオーソドックスというからです。ちなみにカトリックというのは英語で普遍的という意味。それぞれが正当性を主張しているような名前です。正教会はギリシャ、東欧、そしてロシアに広がり、日本でも玉ねぎのような屋根の教会が東京のニコライ堂はじめ各地にあります。特徴は、分裂のきっかけの一つにもなった「聖像廃止礼」を見ても分かるように、カトリック教会のような聖像を禁止し、無表情ともいえる「イコン」が教会聖壇に置かれていることです。偶像礼拝を禁じたユダヤ教やキリスト教からすると正しいのかもしれません。のちに生まれたプロテスタント教会も華美な装飾や聖像を廃止していき、十字架はシンプルです。ちなみにこの「イコン」はパソコンでマウスでクリックする「アイコン」と同じ言葉から来ています。現代英語ではアイコンはそれ以外に、アイドルという意味でも使われています。ロシア正教の指導者の考えやウクライナとの「異端論争」も今回の紛争の影のもう一つの力ともいえるかもしれません。(続く)

 


教会へきてみませんか? 教会は敷居が高い? 

いや、ご遠慮なく。

・日曜日は10.30-12.00までは礼拝、主任牧師がいる週(隔週)は9.45-10.15まで勉強会・質問コーナーも。

・週日にも、聖書を学んで祈る会があります。こどもたちの心を育てる教会学校もあります。

・地域への奉仕や、外国人への日本語教室、通訳支援(英語・ポルトガル語・スペイン語)なども牧師は取り組んでいます。

・個人的相談や祈りも、いつでも受け付けています。秘密厳守ですから安心ください。

主任牧師までお電話を。ルーテル高蔵寺教会・復活教会 牧師:徳弘浩隆 


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