聖書の言葉 マルコ 8:31~38 (新77)
31それからイエスは、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちから排斥されて殺され、三日の後に復活することになっている、と弟子たちに教え始められた。 32しかも、そのことをはっきりとお話しになった。
すると、ペトロはイエスをわきへお連れして、いさめ始めた。 33イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペトロを叱って言われた。「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている。」
34それから、群衆を弟子たちと共に呼び寄せて言われた。「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。 35自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのため、また福音のために命を失う者は、それを救うのである。 36人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。 37自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか。 38神に背いたこの罪深い時代に、わたしとわたしの言葉を恥じる者は、人の子もまた、父の栄光に輝いて聖なる天使たちと共に来るときに、その者を恥じる。」
聖書の言葉 マルコ 8:31~38 (新77)
31それからイエスは、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちから排斥されて殺され、三日の後に復活することになっている、と弟子たちに教え始められた。 32しかも、そのことをはっきりとお話しになった。
すると、ペトロはイエスをわきへお連れして、いさめ始めた。 33イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペトロを叱って言われた。「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている。」
34それから、群衆を弟子たちと共に呼び寄せて言われた。「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。 35自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのため、また福音のために命を失う者は、それを救うのである。 36人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。 37自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか。 38神に背いたこの罪深い時代に、わたしとわたしの言葉を恥じる者は、人の子もまた、父の栄光に輝いて聖なる天使たちと共に来るときに、その者を恥じる。」
説教「神を愛し、人を愛する事の大切さ」徳弘浩隆牧師
1、良かれと思って言ったのに…
人は誰でも、他者から認められたいものです。もっと言えば、他者から評価され、褒められたいものです。
こんなことを表した「承認欲求」という言葉を時々耳にもします。それが強すぎると、浮いてしまったり、自己中心的が過ぎて「面倒な人」に見えてしまったりもしますが、私たちに基本的な大切なことだと思います。だれでも、成長していく過程で親や周りの人から認められ、褒められ、大切にされることを通して、私たちは自分に対する自信や安心を得て、バランスの良い「自分」が出来上がっていくことにつながるのだと思います。
今日の聖書のストーリーは、ペトロにとってはとても大変な体験でした。褒められたかと思えば、激しく叱られてしまうという出来事だからです。
上手くいって評価され安心していたところから急転、突き落とされるような、息の止まるような出来事だったと思います。
挿絵は、いろいろ探してもちょうどよいものがないときは、AIに描いてもらっています。今日もなかなかなかったので、頼んでみました。最初出てきたのは、イエス様が「いや、そうじゃない。よく聞くんだ。いいかい?」というようなジェスチャーの絵でした。しかし、これではやさしすぎると思い、「もっと厳しく叱責している絵を描いて」と頼んで出てきた絵がこの絵です。温かいカラーの絵ではなくて、モノトーンで厳しさや怖さも表現されています。
褒められて、順調と思った直後に叱責され、突き落とされるような出来事、背筋が凍るような出来事、わたしたちにも時々、そんなことがあるかもしれませんね。何が間違えだったのでしょうか?全く問題外の間違えだったでしょうか?イエス様はどんな気持ちで、彼を叱責されたのでしょうか?
一緒に聖書から学んでいきましょう。
2,聖書
今日の聖書個所の直前で、イエス様は旅の途上弟子たちに尋ねました。「人々は私のことを何者だといっているか?」と。それに対して弟子たちは色々伝えます。そこで、「それではあなたがたは私を何者だというのか?」と尋ねました。それに対して、ペトロははっきりと答えました。「あなたは、メシアです」と。模範回答でした。「よく言った!」という状況だったでしょう。ペトロもきっとうれしかったに違いありません。
しかし、そこから、イエス様の話題が変わっていきます。それを土台にして、よりむつかしい神様のご計画を話すときが来たからです。「多くの苦しみを受け、排斥され、殺される」というのです。「三日の後に復活することになっている」とも教えられ始めたのです。「しかも、そのことをはっきりとお話になった」というのです。
ペトロは「何という事でしょう!そんなことがあってはならない。」そう思ったのでしょう。それは、イエス様の身を案じての事であり、また、せっかくここまで順調に来てメシア・キリストとしての大きな働きが実現していくなら…。それは、もしかしたら自分たちを苦しめる征服者ローマ帝国からの独立や、それに伴って自分たちにも名誉なことが起こるかもしれないという、いろんなことが混じった期待、そんなこともあったかもしれません。しかし、イエス様をわきへ引き寄せて「いさめ始めた」ペトロに対して、きびしい言葉を浴びせて叱責されたのがイエス様でした。
その言葉はこうでした。「サタンよ、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている」と。
まず何よりも、人間の事よりも、神様のことを思う事が大切だという事です。そしてその背景は、神様の隠されたご計画は、「メシアが栄光を受けていくのではなくて、苦しみを背負い十字架で死んでいくこと、その後復活する事。それによって、その不思議な出来事によってこそ、人の心は変わり、神のご支配が始まっていくのだ」ということでした。
3,振り返り
誰でも、称賛と名誉を期待します。それも大切なことだと考えました。しかし、それに反してこそ実現する神様の出来事もあるのです。
あれだけ信じ期待していたイエス様が、捨てられ殺されていくことを通して、そう仕向けてしまう人間の心の闇を見つめざるを得ないことで、人を悔い改めに導くのが神様のご計画でした。その裏切りや、妬みや、自己保身の心が、その闇が、自分の中にもあると、気付かされるためでした。
ユダヤ教はもともと、人の罪の代わりに動物を燔祭にして神様に捧げる儀式が大切でした。イエス様の時代も神殿で、それぞれお参りに来た人たちは、自分の懐具合に応じて、ハトや羊や牛などを買って捧げていました。「これくらいで赦してもらおう」そんな気持ちもあったかもしれません。
しかし、神様のご計画は、神の独り子イエス・キリストを人々の罪の身代わりとして捧げるという事でした。「小さな動物ではないよ。本当はあなたが死ぬくらい悔い改めなければならないんだよ。だけどそれに気づかないから、あなたの代わりに神の子が死んで供え物になるのだよ」という事でした。
それに気づいたときにはじめて、ペトロも人の罪深さ、自分の罪深さに愕然とさせられ、新しい生き方へと変えられていくのです。
その結果、なりふり構わず、自分の事ではなく、人々のために生きるという生き方に変えられていきます。それが今日の聖書の後半の「自分を捨て、自分の十字架を背負って生きていく」という事でした。「良かれと思って」イエス様に言った言葉を跳ね返されたペトロは、やがてその意味を悟っていきます。
4,勧め
自分を愛すること、人にも認められ評価され、自分を大切にすることは大事です。そのうえで、人を愛し、支え合って生きることが神の願いでした。そしてみんなで神様を見上げて、平和に生きること、それが旧約聖書からの神様の願いであり、掟でした。
それもできないことがあります。自分を愛せないとき。人を愛さないとき。神様を愛し、信じてついていけないとき。それを変えるのは、自分の罪深さを知り、同じ罪深い他者をゆるし愛し、神様のもとで一緒に生きていくこと。それが私たちに備えられている、やり直しの道のりです。
今年も、キリストが十字架へ進んでいかれることをなぞりながら生きていく日々が始まっています。その十字架の向こう側にこそ、きれいな花が咲く新しい生き方、神の愛のご支配と平和があることを見つけていきましょう。
牧師コラム・ AIとともにお絵描き!?
「マルコによる福音書8章33節に基づいて、イエスキリストがペテロを叱っている状況の絵を描いて。」というお願いをAI(Chat-GPT)に対して私がした後の最初の絵がこれ(右図)です。今日のメッセージでも紹介しました。
しかし、聖書を読むと、こんな生易しい表情ではなかっただろうと思いました。それで、こう付け加えてもう一度描いてもらいました。「もう少しイエスキリストが厳しく叱咤している様子にして。」その結果がこの挿絵です。背筋が凍るような、緊迫した空気も感じる絵になりました。
この挿絵の雰囲気は、とても怖いとも感じますね。
しかし、今日のメッセージのように、その奥底には、愛と希望があってのことです。それが大切です。
十字架という苦しみもありますが、その向こうに見える花のあるきれいな風景。そんなものが私たちにもある苦しみの出口です。
きれいな花が見える十字架。それも見ていきたいですね。教会で学び、一緒に生きていきましょう。
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