2024年2月18日日曜日

説教 メッセージ 20240218

 聖書の言葉 マルコ 1: 9~15 (新61)

9そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。 10水の中から上がるとすぐ、天が裂けて“霊”が鳩のように御自分に降って来るのを、御覧になった。 11すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。

12それから、“霊”はイエスを荒れ野に送り出した。 13イエスは四十日間そこにとどまり、サタンから誘惑を受けられた。その間、野獣と一緒におられたが、天使たちが仕えていた。

14ヨハネが捕らえられた後、イエスはガリラヤへ行き、神の福音を宣べ伝えて、 15「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と言われた。



説教「今日から40日間の意味」 徳弘浩隆牧師

1、今日は何の日?

パソコンを開いて仕事をしようとすると、下の検索窓の横に、毎日いろんなイラストが出てきます。「今日は何の日か」ということを、毎日自動的に表示してくれています。今日は、科学者らしき人と何やら実験道具のような絵が出てきたので、すこし見てみました。関心がないことや、自分に関係がないことも多く出てきますが、時々、気になることがあればリンク先を開いて読んでみます。それによると、今日はイタリア人の科学者のボルタという人の生まれた日だそうです。

さてこのボルタという人、イタリア人で1745年2月18日生まれで、物理学者でした。自分とは関係ないかと思いながらですが、その名前からもしやと思いました。そして知ったのは、この人がいわゆる電池の発明者となっているということでした。そう、1.5ボルトとかの電圧を表す単位のVoltというのは、この人の名前だったのです。ちなみに、エックス線写真を撮ることを、日本ではレントゲンを撮るとふつう言いますが、これも実は人の名前、ラジオなどの周波数のヘルツという単位もありますがこれも人の名前からだと知って驚いたことがあります。

レントゲン写真を撮りに行くときにこれを発明した人が昔の日本人だったとしたら、「レントゲン写真を撮ってください」と言う代わりに、「Sato写真を撮ってきてください」と世界中で言われていたかもしれないと思うと、不思議な気がするものです。ちなみに、Satoさんが日本では一番多い苗字だそうですね。

このように、自分とは関係ないと思っていることでも、自分の人生や今の社会には切っても切り離せないことがあるものです。今日から、四旬節、レントとも言いますが、これはどんな意味があるでしょうか?もちろん、語源だけではなくて、私の人生にどんな意味があるでしょうか?

そのことを今日の聖書から聞いていきましょう。

2,聖書 

マルコによる福音書は、簡単に今日の出来事を告げています。それは、イエス様が洗礼者ヨハネから洗礼を受けられたこと、そのとき天から神の声が聞こえたということ。そして荒れ野に送り出され、サタンから誘惑を受けられたこと。その後、洗礼者ヨハネがとらえられた後、キリストとしての活動を始められたということでした。他の福音書のような詳しい描写ではなく、淡々とそれらの出来事を時系列に沿って伝えています。

今日の話の大切なポイントは次の三つでしょう。

1, 天から聞こえた声は、「あなたは私の愛する子、私の心に適うもの」

2, 荒れ野に送り出されてサタンの誘惑を受けられたのが、40日間だったということ。

3, そして、その後のイエス様の言葉は「時は道、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」という言葉だった、ということです。

これに沿って、キリスト教会の暦では、先週の水曜日から、「40日間」が特別な期間とされています。そしてそれは、「悔い改める」ための期間だということです。

旧約聖書の朗読は、ノアの方舟の時の話でした。その時代に地には人の罪がはびこっていて、神様が人を造ったことを「悔いた」とあることを思い出します。そしてその罪の社会を水で押し流し滅ぼした時に選んだのがノアの家族で、そこから新しい世界の再出発の祝福をされたということでした。そのときの洪水が40日だったということです。

3,振り返り 

今日の聖書で私たちは、何を学び、どのように生きるように勧められているでしょうか?

聖書では、この40という数字はたびたび出てきます。これらは、悔い改めの期間、苦難の期間でそれを通して悔い改めさせられる期間でもあります。そして今始まった「四旬節」の意味は、文字通り40日間という意味。一か月の初旬・中旬・下旬というように、「旬」というのは10日間の意味だからです。

さて、西洋やブラジルでもカーニバルがありましたが、これらもキリスト教のカレンダーとは切っても切れない意味を持っています。40日間は悔い改めと節制の期間だから、飲酒や肉食を控えます。結婚式も控える期間になっています。この40日間の直前、肉の食べ収め、お酒の飲み納めのお祭りをしたということから来ているのです。

この四旬節の期間、ポルトガルやブラジルでは、お肉があまり売られなくなり、スーパーにはバカリャウという塩味の干しダラが積まれます。肉の代わりに魚を食べる期間が始まるからです。

こんな具合に、今日は何の日なのか、その意味はどういうところから始まっているのかを知り、再確認することは大切です。それは、その形式ではなく、その意味を味わい生きるためです。

4,勧め 

では、この40日間の悔い改めの季節に、いつ、私たちは悔い改めをしたらよいでしょうか。

お寺の掲示板の言葉で心に刺さる言葉を時々紹介していますが、今日はこの言葉に先週出会いましたので紹介します。こんな言葉でした。

「生まれ変わるなら 生きているうちに」です。

人はよく、生まれ変わったらこんなことをしたい。生まれ変われるなら、今度はこうしたい。といいます。「生まれ変わるなら」、とか、「死んだあとはどうなるか」などと考えます。

しかし、「生まれ変わるなら、生きているうちに」という言葉は、心に刺さります。

死んだ後の世界や、輪廻で生まれ変わりのことばかり言う仏教と思われがちですが、お寺にこの言葉が掲げてあるのは驚きで、また、新鮮でした。

生まれ変わるのは、死ぬということが前提です。しかし、それが起こる前に、生きているうちにというのは、論理的に矛盾があるので、更に「はっ」とさせられます。同時に、得心させられ、うならされます。

生まれ変わるなら、先延ばししないで、今が大切。今、悔い改めて、変わりましょう、と私たちも勧められています。

四旬節は、そんな期間なのです。悔い改めてもう一度神様と出会って、生きていきましょう。新しい人生を始めましょう。死んでしまう前に、です。

 


牧師コラム・ 四旬節と言えばバカリャウ! 

灰の水曜日から始まった四旬節。カトリックの国々では肉食や飲酒を控え、つつましく生きる風習もありました。ポルトガルやブラジルではこの季節の始まりを告げる国民食があります。それがメルカード(マーケット)の一角にあり、独特の塩漬けの匂いと、図り売りをするために山のように積抜あげられているバカリャウ(右写真)です。これを見ると、「心静かに過ごす季節が始まった」と気づかされるものです。



日系人の間でよく言われるジョークのなかには、「お店でバカリャウが欲しいけどこの単語を思い出せなくて、お店の人と何度もやり取りをした挙句、『もういい、バカヤロー』っていったら、『ああ、バカリャウならあっちにあるよ』と通じた」なんていう笑い話がありました。




ポルトガルの代表的な料理にも使われ、オリーブやゆで卵とともに登場します。じゃがいもと一緒にオーブンで焼いたのもよく食べられます。コシーニャというブラジル風コロッケの中にも入れるのが定番です。今度、手に入ったら、教会ランチで一緒に食べてみませんか?


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。