2020年6月13日土曜日

週報・説教 20200614





説教 「神との約束と使命」徳弘浩隆師

1.   導入
自由が制限されていましたが、やっと自由になりました。監視の目があって、何か間違ったことをすると責められ、人前に出ることができませんでしたが、そんな重圧がなくなりました。自由が欲しいと思い、もっと良い社会になるようにずっと祈ってきましたが、ようやくそれが実現して、新しい段階に入りました。
これらは、今の私たちの生活を言っているのではありません。今日読んでいただいた旧約聖書の「彼ら」、つまりイスラエル人の生活や気持ちを表しているのです。しかし、なにか、今の私たちとたくさんの共通点があるように思えてなりません。
私たちも、新型コロナウイルスのせいで色々な問題があり、大変でした。良くなるようにずっと祈り、ようやく少しずつ実現しています。さて、ある意味で似た状況にあるなら、私たちに神様は何を教えているでしょうか?日本ではそれが少しずつ落ち着き始め、生活も戻り始め、教会の礼拝や集会も再開されている段階です。そんな新しい段階に来た時、「やれやれ良かった。これでようやく息苦しさから解放される」と安心しているだけでよいでしょうか?ちょうどそんな新しい段階にいたイスラエルの民に、神様は何を語り、何を求めたでしょうか?それが今日の出エジプト記に書かれているのです。昔のイスラエルの民がこの時神様から何を聞き、どうこたえていったのかを知ることは、今の私たちの生き方や信仰の指針になるはずです。今日は、そういう気持ちで特に旧約聖書のメッセージを聞いていきたいと思います。

2.   聖書
イスラエルの民の状況を振り返ってみましょう。彼らは、エジプトに移り住んだイサクとその子供たち一同の共同体の子孫でした。今風に言えば、飢饉で食糧難に陥り難民として隣国に保護され、世代を超えて子孫や移民が増えていました。エジプトでは厚遇され、それなりの良い生活を送っていましたが、時がたち時代も変わり、エジプトでの彼らの生活は苦しいものになってきていました。自国人が好まない、面倒な仕事、きつい仕事を任されるようになり、やがて、奴隷のような生活になり、差別されるようになりました。
かれらは、そんなエジプトを命からがらで脱出しました。多くの災難や疫病、神様のなさる奇跡を通してエジプトの王は彼らの出国を認めました。エジプト王が心変わりして軍隊が追いかけてきましたが、行く手を阻む紅海の水が真っ二つに割れてその中を歩いてイスラエルの民だけ逃げ切り、テント生活をしながら転々としてようやくここまで来たのです。シナイの荒れ野でした。ようやく一息ついた、新しい生活が始まろうとしたとき、神が語りかけました。
「イスラエルの民にこう語りなさい」と神様はモーセに言われます。神様がエジプト人にしたこと、イスラエルの民を連れ出してきてあげたことを思い出させます。そして、こういわれました。「今、もしわたしの声に聞き従い わたしの契約を守るならば あなたたちはすべての民の間にあって わたしの宝となる。世界はすべてわたしのものである。あなたたちは、わたしにとって 祭司の王国、聖なる国民となる。これが、イスラエルの人々に語るべき言葉である。」
それを聞いてモーセは戻り、長老たちを呼び集めて、神様の言葉をすべて伝えます。長老たちは、イスラエルの民は、どう答えたでしょうか?ここが大切なところです。彼らはこう答えました。「民は皆、一斉に答えて、「わたしたちは、主が語られたことをすべて、行います」と言った。」

3.   振り返り
私たちは一生懸命祈りますが、問題が解決すると、神様を忘れてしまうことがあります。そうなってはいけません。喉元を過ぎれば熱さを忘れてしまうのです。
大変な時には、苦しい時には、神様にあれやこれやと条件を付けて祈ります。「神様が聞いてくれたなら、私はこうしますから!」と。私たちも思い出さねばなりません。神様が、私たちの叫びや祈りを聞き、何をしてくれたかを。そして、いま、神様が私たちに聞いています。「今までこれこれこういうことをしてあげた。思い出しなさい。だから今、私の声に聞き従い、私の契約を守りますか?」と。
命からがら新型コロナを生き延びて、面倒な生活からようやく新しい段階の地に来たところの私たちです。もう神様を忘れてしまってはいませんか?神様に祈り約束したことを忘れてしまってはいませんか? ちょうどそんな聖書の個所が、今日与えられています。
神様がしてくださったことを思い出しましょう。神様に祈り、誓ったことを思い出しましょう。もうこれはしませんとか、これからはこういう風にします、とか、色々な祈りを私たちはしたでしょう。
そして、神様の声に聴き従い、神様との契約を守ること、そのことを今日、もう一度確認する日にしましょう。一同が集まって一斉に答えました。「私たちは、主が語られたことをすべて、行います」と。

4.   勧め
さて、今日の結論と、私たちの言うべき言葉はこうです。「私たちは、主が語られたことをすべて、行います」。しかし、その「主が語られたこと」とは何でしょうか?
今日の旧約聖書の話は、決して昔の聖書の中の物語ではなくて、今の世界のあちこちで起こっていることでもあるということに気づかねばなりません。日本でも昔から外国人の方々が住んでおられますし、最近では外国人の方々の出稼ぎや実習労働者として多くおられ、そのおかげで国は回っています。苦労や差別もあることに、最近新型コロナの影響で再度気づかされ始めていると思います。アメリカのアフリカ系住民、いわゆる「黒人」の死亡事件を通して、差別反対の大きな運動が起こり、世界にも広がっています。
天地創造をされ、人間にすべての被造物の管理を任された神様ですが、人間はそれぞれ私利私欲で、無理な開発をし自然環境を破壊してきました。いま、大きな発展途上国が大規模な開発をし、先進国も競争に負けないように環境問題を気にせず競争をしています。それも、いま、変えていかねばなりません。神様が被造物の管理を人間に任されたあの言葉を思い出し、「私たちは、主が語られたことをすべて、行います」をここでも言わなければなりません。
きょうは、旧約聖書に焦点を当てましたが、この神様との契約を新しくされたのがイエスキリストです。イエス様の生き方、語られた言葉を思い出し、愛のある生き方に対して、「私たちは、主が語られたことをすべて、行います」ともいうことが大切です。
神様のしてくれたことを思い出しましょう。神を信じ、正しく生きること、愛を生きること、隣人を愛すること、自然環境をも愛して大切にすること、生活を変革すること、そんなお返事を神様にし、生活していきましょう。神様の祝福がありますように。

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