2024年7月21日日曜日

説教メッセージ 20240721

聖書の言葉 

マルコ 6:30~34,53~56 (新72)

6: 30さて、使徒たちはイエスのところに集まって来て、自分たちが行ったことや教えたことを残らず報告した。 31イエスは、「さあ、あなたがただけで人里離れた所へ行って、しばらく休むがよい」と言われた。出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。 32そこで、一同は舟に乗って、自分たちだけで人里離れた所へ行った。 33ところが、多くの人々は彼らが出かけて行くのを見て、それと気づき、すべての町からそこへ一斉に駆けつけ、彼らより先に着いた。 34イエスは舟から上がり、大勢の群衆を見て、飼い主のいない羊のような有様を深く憐れみ、いろいろと教え始められた。 

6: 53こうして、一行は湖を渡り、ゲネサレトという土地に着いて舟をつないだ。 54一行が舟から上がると、すぐに人々はイエスと知って、 55その地方をくまなく走り回り、どこでもイエスがおられると聞けば、そこへ病人を床に乗せて運び始めた。 56村でも町でも里でも、イエスが入って行かれると、病人を広場に置き、せめてその服のすそにでも触れさせてほしいと願った。触れた者は皆いやされた。


説教「飼い主のいない羊、羊のいない飼い主」徳弘浩隆牧師

1、疲れ果て、行列を作る人々

今日の週報やプロジェクターの表紙の画像は、多くの人が集まり、イエス様に会おうとしている挿絵です。イエス様に会おうと、連れてこられた病気の方もいて、こどもを抱えた母親たちの姿もありますが、人々は疲れ果て、座り込む人もいます。

私たちは先週、似た光景を目にしました。TVのニュースで、です。人々は殺到し、行列ができ、子どもたちと一緒に、荷物も抱え、途方に暮れている映像を見ました。それは、世界中で起こっていました。

違うのは、先週見た光景は世界各地の空港。イエス様に会おうという行列ではなくて、カウンターに並ぶ彼らが見つめるのは青い画面のコンピューターだったことです。Facebookでは、彼女が中学生のころから知っている教会のメンバーが、ちょうど旅先のアメリカの空港でこのトラブルに巻き込まれて、乗り換えができず、高いお金を払ってホテルに泊まらないといけないかという嘆きの声でした。お子さん連れの旅行で、気の毒なことでした。状況も時代も全く違いはしますが、何か似たものを感じながら、ニュースを見、また聖書を読む週末でした。一緒に聖書を見ていきましょう。

2,聖書 

マルコの福音書の流れはこうです。イエス様がガリラヤ湖のほとりで説教をし、向こう岸にわたり、また戻ったところで会堂長ヤイロの娘を生き返らせる奇蹟がありました。その後、故郷・つまり、ナザレに行かれて宣教をされました。人々は驚いたけれど受け入れられなかったと伝えられています。それで近くの村を回り宣教をされ、つぎには弟子たちを二人ずつペアにして派遣しました。そして今日は、その弟子たちが帰ってきて、イエス様にすべての出来事を報告をしたというところから始まります。イエス様は「あなたたちだけで、人里離れたところで休むがよい」と成果を喜ばれ、休息をとるように勧めました。忙しすぎて食事をする暇もなかったからだということです。しかし、移動先にも群衆は駆け付け、先回りまでしていました。舟から上がったイエス様は、大勢の群衆を見て深く憐れまれ、いろいろと教えました。

その後、実は5000人に食事を与えられた奇蹟の話がありますが、今日はそれを飛ばして、また船で湖を渡って、ゲネサレトという土地に行きましたが、そこでも多くの人に追いかけられ、人々に教え癒されたという話までになっています。

今日の礼拝では飛ばすことになるパンの奇蹟は、この後来週からしばらく、パンの奇蹟の話が続くことになりますので、今日は飛ばして学ぶことになるのでしょう。

3,振り返り 

さて、今日の聖書から何を私たちは振り返りましょう。

少し引きずられすぎかもしれませんが、私はどうしても、空港で待ちくたびれて、解決せず、行列を作り、座り込み、途方に暮れる、現代の空港にいる群衆のことを忘れることができません。忙しい仕事や楽しみにしていた旅行ができなくなった方々にはお気の毒ですし、買い物や病院でもトラブルとなって、手術や診察や薬が先延ばしになった方もおれら、これはもっと重大なことで気の毒なことでした。

しかし、この姿に、私たちの姿を見せつけられもしました。トラブルの原因は簡単に言うと、コンピューターのシステム障害ですが、それぞれのパソコンが立ち上がらなくなり青い画面とメッセージのみが出ることになり、データーを蓄積しやり取りをするサーバーともつながらなくなったということが原因で起きたことでした。

私たちの姿はどうでしょうか? 一人一人がうまく生きることが出来なくて、それぞれが機能しなくて、青い顔をして立ち止まり座り込むことがあります。互いの連携も取れなくなり、おおもとの大事な方との関係も途絶えているから、何もできない状態に陥ることがあります。それぞれは大きな価値がある一人一人ですがそれが発揮できず、連携した助け合いや、分かち合うこともできません。すべてを制御し多くの知恵や資源がある神様との関係も切れてしまっています。それで、立ち往生し、ぶつかり合い、戦争までするその姿は、史上最大のパソコンのシステムエラーではなくて、人類が神を離れ、人々の関係が切れ、それぞれの人間もその価値を発揮できずにいる姿そのものに見えて仕方ありません。

そこで立ちすくみ、座り込み、行列を作る姿は、「飼い主のいない羊」のようでもあります。そんな私たちに、帰ってくるようにと呼びかけ続けておられるのが旧約から新約まで一貫して待ち続けている神の姿です。私たちが「飼い主のいない羊」のように憐れだと思いますが、実は、神様の方も悲しみに暮れる「羊がいなくなったか羊飼い」でもあるのです。そこに来られたイエスさまと、イエス様が派遣した弟子たちは、休む暇もないほど忙しく働き、教え、癒してくださったということが今日の福音のポイントだと思わされます。

4,勧め 

 私も休む暇もないほど忙しい日を送ることもありますが、まだまだともいえるかもしれません。

先週は実は忙しい週でしたが、友人が訪ねてきてくれました。シリア人の青年でイスラム教徒のまじめな青年です。サンパウロの教会で出会い、教会のゲストルームにしばらく滞在し、教会での交流もし、今でもつながっていました。その後、彼はフランスで難民ビザを取って大学を終了し、短期交換留学で東京大学で勉強中でした。もうすぐフランスに帰国なのでと、名古屋まで会いに来てくれました。 7-8年ぶりに彼と会い、英語にポルトガル語と日本語を少し混ぜながらずいぶん久しぶりに話し込みました。キリスト教とイスラム教の違いはありますが、彼は温厚ですがまじめな信仰の持ち主で、意気投合します。

 「神を大切にし、人々が愛し合う世界、それが神の願いなのに、それを人類は破ってしまった。だから神はその時々に応じて預言者を送った。神のもとに帰り、人と人が愛し合って平和に生きることができるようにと。イエスさまも偉大な預言者で、私たちも尊敬している。彼がメシアで最後の審判で再度来られるのも信じて待っている。」と力説します。もちろんイスラムの人ですから、こうも言います。「ムハンマドがそれ以降の最後の預言者だし、パウロがキリスト教を神学的に組織化して教会を形成していく中で、神の教えから少しそれたところがあるんじゃないかと自分は思っているんだけれど」と。

 神学的な宗教論争はせずに、彼の神様と自分たちの関係の見方や生き方は、本当に尊敬し互いに理解しあえることが大きいと思わされます。イスラムのイマーンになって一緒に仕事をしないかと言ったくらいです。そういえば、サンパウロで彼からポルトガル語版の簡略版クルアーン(コーラン)ももらいました。

私たちはイエス様を通して教えられた神様の出来事をもっと学び、神様との正しい関係、人々の間の正しい関係に戻っていきたいと、思わされます。もっと一緒に聖書を学び、他宗教や歴史も学び、自分の中に正義と平和が訪れ、世界の人と平和に生きていけるように歩みましょう。

 


牧師コラム・ 急に訪ねてきた友と神様の話

  Facebookのメッセンジャーでブラジルの教会員のご婦人からメッセージがありました。「先生、〇×〇×が先生に会いに行くと言っています。よろしくお願いします。」と。前後して、〇×〇×からも英語でメッセージがありました。「先生、来週名古屋に行きます。時間があったら会えたらとてもうれしいです。東京に来ていましたが、大学が忙しくてどこにも旅行できませんでした。」と。忙しいけれど懐かしい友人からの連絡だったので、すぐにOKしました。彼の勘違いで少し日程がずれて高蔵寺訪問は無理でしたが、無事会いました。夜行バスで名古屋まで来た彼と朝会い、徳川園と復活教会を案内。近所の喫茶店でモーニングを食べながらおしゃべり。昼食は和食をと、ちょっと奮発して、カニのおいしいお店でランチ。北海道もたぶん行けないというので。

  そして、私が関わっている幼稚園の先生に相談して、夜は一泊保育の花火に飛び入り参加で招待しました。今月の幼稚園の聖書の言葉は「隣人を愛しなさい」ですから、子どもたちにも、先生の大切のお友達を紹介します」といって、「みんなは初めて会う人だけとコワくないよ、仲良くしてね」とお話ししました。何人も花火をしながら声をかけてくれ、日本語でおしゃべり。彼は留学中で日本語も少しわかります。片付けも手伝ってもらった彼に、「もう帰るの?またね!」とあいさつしてくれました。神様と人を愛する一歩でした。


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